「コンクリートに穴をあけるのは自社で行う。鉄筋の位置だけ調べてほしい」。こうしたご相談は珍しいものではありません。レントゲン(X線)探査や鉄筋探査は、コア抜きとセットでなければ依頼できないものではなく、調査だけを単独で依頼できます。
ただし、探査だけを依頼する場合は、穿孔まで任せる場合と段取りが変わります。どこまでを調査範囲にするか、結果をどんな形で受け取るか、探査から穴あけまでどれくらい空くか。ここを先に決めておかないと、現場で「思っていた形で結果が残っていない」ということが起こります。
この記事では、探査だけを依頼するときに決めておきたいことと、当日の進み方を整理します。コア抜きまで含めて依頼する場合の流れはコア抜き(コア穿孔)とは?目的から手順、注意点までをご覧ください。
探査だけの依頼は、こんなときに使われます
穴あけは自社、または別の業者が行う
設備工事業者様や電気工事業者様が、コア抜き・穿孔の設備と技術をご自身で持っているケースです。必要なのは「どこに鉄筋やスリーブ、埋設配管があるか」という情報だけで、穿孔そのものは自社で完結します。元請から穿孔業者が指定されていて、探査だけを別途手配するという形も同じです。
設計・積算の段階で、位置を先に確定したい
設計事務所様や施工管理の担当者様から、着工前の調査としてご依頼をいただくことがあります。貫通位置が構造上成立するかを先に確かめておきたい、あるいは見積書に載せる数量を確定させたい、といった目的です。この場合は工事日程よりかなり手前で調査が入るため、結果を書面で残しておくことが特に重要になります。
図面がない、または図面と現況が違う
改修工事では、竣工図が残っていない、増改築を経ていて図面と現況が一致しない、というケースが頻繁に起こります。この場合は「図面の確認」ではなく「現況を実測する」ための調査になるため、調査範囲を広めに取る判断が必要になることがあります。
「この規模でも頼めるのか」「そもそも探査だけで用が足りるのか」という段階のご相談も承ります。1か所だけの調査でも、数百か所の調査でも、まずは現場の条件をお聞かせください。
依頼前に決めておきたい4つのこと
お問い合わせの段階でこの4つが決まっていると、見積もりも日程調整も一度のやり取りで進みます。決まっていない項目があっても構いません。その場合は現地調査で一緒に決めていきます。
① 調査範囲(か所数と、1か所あたりの広さ)
探査の費用と所要時間は、面積ではなく「調査点数」で積み上がるのが基本です。「壁1面」ではなく「1か所500mm角を◯か所」という単位で考えます。
- 貫通させたい位置が決まっている場合:その位置を中心に、どれだけの範囲を見るか
- 位置がまだ決まっていない場合:あけられる場所を探すための範囲をどこまで広げるか
- 1か所あたりの範囲は、撮影・照射の1回でカバーできる大きさが基準になります
位置が未定のまま「あけられる場所を探してほしい」という依頼も可能です。ただし、探す範囲が広いほど点数は増えます。設備側の制約(配管の勾配、機器の位置、点検口の有無)から候補を2〜3か所に絞っておくと、点数を抑えられます。
② 探査方法(X線か、電磁波レーダーか)
「レントゲンで」とご指定いただくことが多いのですが、現場条件によってはX線が使えない、あるいは別の手法のほうが適していることがあります。手法の違いは電磁波レーダー法と電磁誘導法の違いでも整理していますが、判断の分かれ目は次の項で扱います。
③ 結果の残し方(現物へのマーキング・写真・書面)
ここが探査だけの依頼で一番トラブルになりやすい部分です。調査結果は、次の3つのどれで受け取るかによって、後工程での使い勝手がまったく変わります。
| 残し方 | 向いている場面と注意点 |
|---|---|
| 現物へのマーキング | すぐに穿孔する場合に最も確実です。 ただし屋外や人の出入りがある場所では消えることがあります。 |
| 写真 | 位置関係を後から共有できます。 スケールや基準となる壁・柱を一緒に写しておく必要があります。 |
| 書面(調査結果の記録) | 設計・積算や、管理組合・発注者への提出が必要な場合に使います。 必要な様式がある場合は事前にお知らせください。 |
管理組合への提出や、設計上の根拠として使う予定がある場合は、その旨を最初にお伝えください。当日その場で「書類も要る」となると、撮り直しが必要になることがあります。
④ 探査から穴あけまでの間隔
探査の翌日に穿孔するのか、1か月後なのかで、結果の残し方の答えが変わります。間隔が空くほど、現物のマーキングだけに頼るのは危険になります。また、その間に別の工事が入って壁の仕上げが変わることもあります。
探査だけの依頼か、コア抜きまで含めるか。迷った段階でご相談ください。
現地調査を含めたお見積りは無料です。 料金表を見る
X線探査は「準備」で結果が変わります
X線探査は、片側から照射して反対側で受像する透過法が基本です。この性質から、当日の条件が結果を大きく左右します。依頼が決まったら、次の4点を確認しておいてください。
対象の両面に入れるか
表と裏の両方にアクセスできることが前提になります。片面が地面に接している土間、片面が隣家に接している外壁、裏側が使用中の部屋で入れない壁などは、X線が使えないか、条件付きになります。この場合は電磁波レーダーへの切り替えを検討します。
周囲に人が入らない時間を作れるか
照射中は一定の範囲から人を退避させる必要があります。稼働中の工場、営業中の店舗、居住中のマンション共用部などでは、夜間や休業日に作業時間を設定することが多くなります。退避範囲の目安は現場条件で変わるため、現地調査の段階でお伝えします。
電源が取れるか
装置の電源が必要です。改修前で電気が止まっている建物、電源から距離がある屋外などでは、発電機や延長の手配が要ります。事前に分かっていれば当日の手戻りがありません。
足場・脚立が必要な高さか
天井や梁、高所の壁を調査する場合は、足場や高所作業車の手配が必要になることがあります。高所の作業については天井・高所のコア抜き・アンカー工事も参考にしてください。
X線を扱う作業には有資格者の配置と、法令に基づく管理が必要です。退避範囲の設定、立入禁止措置、作業時間帯の調整を含めて対応します。詳しくはX線(レントゲン)探査の5つの注意点で解説しています。
X線と電磁波レーダー、どちらを選ぶか
「レントゲンでないと分からない」と思われがちですが、目的によっては電磁波レーダーのほうが向いている場合があります。現場を見て決めるのが確実ですが、判断の目安は次のとおりです。
X線(レントゲン)探査が向く場面
- 壁・床の両面に入れる
- 鉄筋以外の埋設物(電線管・小径配管)も含めて見たい
- 鉄筋の重なりが多く、細かく判別したい
- 人の退避や時間帯の調整ができる
電磁波レーダーが向く場面
- 片面からしか作業できない
- 調査範囲が広く、点数が多い
- 厚みのある部材で、透過が難しい
- 日中の稼働中に作業する必要がある
実際には、広い範囲をレーダーで当たってから、重要な位置だけX線で確認するという組み合わせも有効です。どちらを何か所使うかで費用も変わるため、この設計自体を現地調査でご相談いただくのが結果的に早くなります。
探査だけを頼んだあと、穴あけで失敗しないために
調査は終わったのに、いざ穿孔したら鉄筋に当たった。この事故のほとんどは、探査の精度ではなく探査と穿孔の間で起きています。
- マーキングが消えている・薄れている。屋外、粉じんの多い現場、人の出入りが多い場所では特に起こります。写真での記録を必ず併用してください。
- 基準が共有されていない。「柱から◯mm」の基準となる柱が、図面と現場で食い違っていることがあります。写真には必ずスケールと基準物を入れます。
- 穿孔の位置が現場判断でずれた。設備側の都合で数十mm動かすことは実務ではよくありますが、調査した範囲の外に出てしまえば結果は保証できません。動かす可能性がある場合は、その幅を含めて調査範囲を取っておきます。
- 深さの想定が違った。探査で分かるのは平面上の位置が中心です。貫通させるのか止めるのか、部材の厚みはいくらか、を事前に共有してください。
実際に鉄筋を切ってしまった場合に何が起きるかは、コア抜きで鉄筋を切ってしまったら?で詳しく扱っています。この事故を避けるための費用として考えると、探査は決して高い工程ではありません。
依頼から当日までの流れ
- お問い合わせ。現場の所在地、部材(壁・床・梁)、想定される厚み、調査したいか所数、希望日と時間帯をお知らせください。図面があれば送っていただけると精度が上がります。
- 概算のご提示・現地調査。条件が明確な場合は概算をお出しします。条件が固まっていない場合や規模が大きい場合は、現地調査にお伺いします。現地調査は無料です。
- お見積り・日程確定。退避が必要な範囲、作業時間帯、必要な準備(電源・足場・鍵の手配)をこの段階ですり合わせます。
- 調査当日。現場で結果をお伝えし、取り決めた形(マーキング・写真・書面)で記録を残します。
- 結果のお渡し。書面が必要な場合は後日お送りします。結果を見て「やはり穿孔まで頼みたい」となった場合も、そのまま対応できます。
HOLTECHは、X線探査・鉄筋探査からコア抜き、あと施工アンカーまでを自社で行っています。探査だけをご依頼いただいたあとに穿孔まで広げる場合も、改めて別の業者を探す必要はありません。一貫して依頼した場合の利点はコア抜きとX線探査をセット依頼するメリットにまとめています。
よくあるご質問
できます。設備工事業者様や電気工事業者様から、探査のみのご依頼を多くいただいています。調査結果は、現物へのマーキング、写真、書面のうちご希望の形でお渡しします。
対応しています。ただし探査は基本料金と点数の積み上げで費用が決まるため、1点あたりで見ると点数が多い場合より割高になります。近い時期に他の箇所も予定がある場合は、まとめてご相談いただくほうが効率的です。
調査できます。むしろ図面がない現場こそ探査が必要になります。ただし当たりを付ける手がかりが少ないため、調査範囲を広めに取る必要が出ることがあります。現地調査で範囲の考え方をご提案します。
ご相談ください。管理組合や発注者への提出、設計・積算の根拠として使うなど、用途と必要な様式を事前にお知らせいただければ、それに合わせた形でご用意します。当日になってから追加するのは難しい場合があるため、依頼時にお伝えいただくのが確実です。
期間が空くこと自体は問題ありませんが、現物のマーキングは消えることがあります。写真や書面での記録を併用してください。また、その間に仕上げが変わる予定がある場合は、あらかじめお知らせください。
壁や床の裏側に入れるかどうかが最初の判断材料になります。片面からしか作業できない場合はX線が使えないため、電磁波レーダーなど別の手法を検討します。現場の状況をお聞かせいただければ、お問い合わせの段階で目安をお伝えできます。
大阪・近畿一円で、探査だけのご依頼も承ります
HOLTECHは大阪を拠点に、大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県・滋賀県・三重県で非破壊検査と穿孔工事を行っています。X線探査・鉄筋探査からコア抜き、あと施工アンカーの打設・引張試験までを自社で対応しているため、「調査だけ」からでも、「調査から穿孔まで」でも、同じ窓口で進められます。
料金の考え方は料金表に、実際の現場は施工事例に掲載しています。現地調査を含めたお見積りは無料です。
まとめ
- レントゲン(X線)探査は、コア抜きとセットでなくても単独で依頼できる
- 依頼前に決めておきたいのは、調査範囲・探査方法・結果の残し方・穴あけまでの間隔の4つ
- 結果を書面で残す必要がある場合は、依頼の時点で伝えておく(当日の追加は難しい)
- X線は対象の両面に入れることが前提。片面からしか作業できない現場は電磁波レーダーを検討する
- 穴あけでの失敗は探査の精度ではなく、探査と穿孔のあいだで起きることが多い
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