コンクリート内部の空洞・ジャンカ。放置する危険性と調査方法

堅牢に見えるコンクリート構造物も、内部に問題を抱えていることがあります。その代表が、施工時に発生する「空洞」や「ジャンカ」といった初期不良です。

これらは完成直後には見えにくく、長年放置されると建物の強度低下や大規模な劣化に繋がる危険なサインとなります。この記事では、これらの欠陥の危険性、調査方法、そして対策について専門家の視点から解説します。

ジャンカ(豆板)

コンクリート打設時にセメントペーストが隅々まで行き渡らず、砂利などの粗骨材が集まってできた隙間の多い不良箇所です。

コンクリート ジャンカ

空洞

締固め不足によって生じる気泡など、コンクリート内部に意図せず生じた隙間全般を指します。

これらの主な原因は、締固め不足、コンクリートの流動性不足、過密な配筋など、施工段階の要因がほとんどです。初期段階で対処しなければ、後々大きな問題へと発展します。

空洞やジャンカを放置すると、主に3つのリスクが生じます。

1. 構造物の強度低下

内部に欠損があるため、コンクリートが本来持つべき荷重支持能力が低下します。特に柱や梁に存在すると、地震時などに構造上の弱点となる可能性があります。

2. 鉄筋の腐食

欠陥部が雨水や空気の侵入口となり、コンクリートのアルカリ性を失わせる「中性化」が進行します。これにより内部の鉄筋が錆びやすくなります。

3. 「爆裂」による劣化の加速

錆びた鉄筋は体積が膨張し、内側からコンクリートを破壊します。これを「爆裂」と呼びます。一度爆裂が起こると、そこからさらに劣化が進む悪循環に陥り、コンクリート片の剥落事故などに繋がる危険性も高まります。

目視では確認できない内部の欠陥を発見するには、専門的な非破壊検査技術が必要です。

打音調査

テストハンマーでコンクリート表面を叩き、その音の違いで内部の状態を判断する調査です。健全な箇所は硬く高い音がしますが、内部に空洞などがあると、低く詰まったような音になります。広範囲の一次スクリーニングに適しています。

超音波法

コンクリート内部を超音波が伝わる速度を測定し、欠陥の有無や規模を診断する、より詳細な調査です。空洞やジャンカがある箇所では超音波の伝わる速度が遅くなるため、欠陥の位置や大きさを高い精度で推定できます。

これらの調査を組み合わせることで、建物を傷つけることなく内部の状態を正確に把握することが可能です。

欠陥が発見された場合の補修は、その原因や状態に応じて行います。基本的な考え方は「欠損部を健全な状態に戻し、構造物としての一体性を確保すること」です。

樹脂注入工法

内部の空洞やひび割れに対し、エポキシ樹脂などを高圧で注入して隙間を埋め、一体化させます。

断面修復工法(充填工法)

ジャンカなどで欠損した部分を削り取った後、高機能なポリマーセメントモルタルなどを充填して元の形状に復元し、強度と耐久性を回復させます。

表面を隠すだけの補修では意味がありません。内部の空隙を確実に埋めることが、構造物の寿命を延ばす鍵となります。

コンクリートの空洞やジャンカは、放置すれば建物の寿命を大きく縮める危険な初期不良です。しかし、打音調査や超音波法といった非破壊検査技術を用いれば、深刻な状態になる前に発見し、適切に対処することができます。

建物の安全性を維持し、その資産価値を長く保つためには、専門家による定期的な劣化診断が非常に有効です。

株式会社HOLTECHでは、最新の非破壊検査技術を駆使し、お客様の大切な資産であるコンクリート構造物の健全性を正確に診断いたします。ご心配な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

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