非破壊検査でよく使われる専門用語集:これであなたも専門家!

建物や橋、工場設備など、身の回りにある様々な構造物の安全を守る非破壊検査。専門用語が多く、難しく感じるかもしれません。この記事では、非破壊検査の現場で頻繁に使われる専門用語を、初心者の方でも理解しやすいように非破壊検査のプロである株式会社HOLTECHが分かりやすく解説します。用語の意味や使われる場面を知ることで、非破壊検査への理解を深め、より安心して構造物の状態を把握できるようになります。

非破壊検査(NDT:Non-Destructive Testing)

対象物を壊さず、内部の状態や欠陥を調べる検査技術全般です。エックス線(X線)や超音波などを使い、構造物の健全性や品質を評価します。品質保証、安全管理、事故防止に貢献します。

供試体(きょうしたい)

検査や試験の対象となる具体的な物体やサンプルを指します。例えば、アンカーの引張試験を行うアンカー部分や、コンクリートの中性化を調べるための採取片などです。

欠陥(きず、損傷)

構造物の性能や安全性を低下させる不具合や異常な部分です。ひび割れ、空洞、溶接不良、鉄筋腐食などがあります。検査で発見された場合、補修の必要性を判断します。

健全性

構造物や材料が、設計通りの機能や性能を十分に果たし、安全な状態にあること。非破壊検査は、構造物の健全性を評価し、安全に使用できるかを判断するのに重要です。

維持管理

構造物や設備の性能を長期間保ち、安全かつ効率的に運用するための活動全般。点検、検査(非破壊検査含む)、診断、補修などが含まれます。

X線探査(レントゲン探査、放射線透過試験:RT)

X線を利用し、コンクリート内部の埋設物(鉄筋、配管など)や欠陥を画像で確認する非破壊検査です。X線を透過させて濃淡画像を得ることで、目に見えない内部を鮮明に可視化します。

フィルムレス

X線フィルムを使わず、デジタルデータでX線画像を記録・処理する方式です。イメージングプレート(IP)などを使用し、その場で結果確認、検査時間短縮、環境負荷低減が可能です。

イメージングプレート(IP)

X線を感知して画像を記録するデジタルセンサー。X線エネルギーを蓄積し、レーザーで読み取り、デジタル画像として変換します。高精細な画像が得られ、繰り返し使用可能です。

超音波探傷試験(UT:Ultrasonic Testing)

超音波を使い、材料内部の欠陥(きず)を検出する検査です。超音波パルスを送信し、欠陥や裏面からの反射波を測定して、欠陥の位置や大きさを評価します。

探触子

超音波を対象物に送信・受信するプローブ(センサー)です。内部の圧電素子が電気信号を超音波に変換します。

カプラント

探触子と検査対象物の間に塗布する液体やゲル。空気をなくして超音波の伝達効率を高めます。

パルス反射法

探触子から短い超音波パルスを送信し、欠陥や裏面からの反射波を受信して位置や深さを測定する、最も一般的な方法です。

電磁波レーダー探査(GPR:Ground Penetrating Radar、鉄筋探査)

電磁波を放射し、その反射波からコンクリート内部の埋設物(鉄筋、配管)の位置や深さを探査する非破壊検査です。地中探査やコンクリート内の鉄筋探査に利用されます。

電磁波

電場と磁場の変化が空間を伝わる波。光や電波も含まれます。レーダー探査では、異なる誘電率の物質に当たると反射する性質を利用します。

誘電率

物質が電場によって電気分極を起こす度合いを示す物理量。レーダー探査では、物質間の誘電率の差が大きいほど、強い反射波が得られます。

反射波

放射された電磁波が、埋設物や層の境界面に当たって跳ね返ってくる波。この反射波を分析し、埋設物の位置や深さを推定します。

磁粉探傷試験(MT:Magnetic Particle Testing)

強磁性体の表面や表面直下のきずを検出する検査です。対象物を磁化させ、磁粉を散布すると、きずの部分に磁粉が吸着して可視化されます。

磁粉

磁粉探傷試験で使う微細な強磁性体の粉末。きずに引き寄せられ、きずの模様を形成します。

磁化

物体が磁石の性質を持つようにすること。磁粉探傷では、検査対象物を磁化させ、きずからの磁力線漏洩を検知します。

浸透探傷試験(PT:Penetrant Testing)

あらゆる材料の表面に開口しているきずを検出する検査です。浸透液をきずに染み込ませ、現像液で吸い上げてきずを可視化します。

浸透液

きずの内部に深く浸透しやすい特殊な液体。通常、赤色に着色されているか、蛍光性物質が含まれます。

現像液

浸透液をきずから吸い上げて、きずの形を鮮明に浮き上がらせる白い粉末または懸濁液です。

渦流探傷試験(ET:Eddy Current Testing)

導体(金属)の表面や表面近傍のきず、厚さの変化を検出する検査です。コイルで発生させた渦電流が、欠陥や材料変化によって乱されることを利用します。

渦電流

導体に変動する磁場が作用したときに、その導体内部に発生する渦状の電流。きずがあると、渦電流の流れが妨げられます。

中性化

コンクリートのアルカリ性が低下し、pH値が中性に近づく現象。空気中の二酸化炭素と水酸化カルシウムが反応することで起こり、鉄筋の腐食につながります。

塩害

コンクリート中の塩化物イオンが鉄筋を腐食させる現象。海岸地域などで発生しやすく、鉄筋の体積膨張によりコンクリートのひび割れや剥離を引き起こします。

ひび割れ(クラック)

コンクリート表面や内部に発生する亀裂。乾燥収縮、温度変化、荷重などが原因で、鉄筋腐食や中性化を促進する可能性があります。

かぶり厚

コンクリート表面から最も外側の鉄筋表面までの最短距離。これが適切に確保されていないと、鉄筋が錆びやすくなります。

鉄筋腐食

コンクリート内部の鉄筋が錆びる現象。中性化や塩害によりアルカリ性が失われ、鉄筋が膨張することでコンクリートのひび割れや剥離、爆裂を引き起こします。

アルカリ骨材反応(ASR:Alkali-Silica Reaction)

コンクリート中のアルカリ成分と骨材中の反応性シリカが反応し、膨張性のゲルを生成する現象。ゲルが膨張することでコンクリートにひび割れや膨張が発生します。

凍害

ンクリート内部の水分が凍結と融解を繰り返すことで、ひび割れや剥離が発生する現象。水が凍結時に体積が膨張し、内部からコンクリートを破壊します。

コア穿孔(コア抜き)

ダイヤモンドコアドリルでコンクリートに円筒状の穴を開ける作業。配管・配線用開口や強度試験用サンプル採取が目的です。

コア抜き工事

アンカー打設

コンクリートの穴にアンカー(固着具)を打ち込み、構造物を固定する作業。設備や手すり、耐震補強金物などの固定に用います。

引張試験

材料や部材に引張荷重を加えて、その耐力や変形特性を測定する試験。アンカー工事の品質管理では、アンカーがどの程度の力に耐えられるかを確認します。

構造物

建築物、橋梁、トンネル、ダムなど、特定の機能を果たすために建設された人工的な建造物全般。非破壊検査で安全性や劣化状況を確認します。

インフラ

社会や経済活動の基盤となる公共施設や設備。道路、鉄道、電力、水道などが含まれ、非破壊検査はこれらの維持管理に不可欠です。

非破壊検査は、見えない部分の安全を守る「縁の下の力持ち」です。これらの専門用語を理解することで、より深く構造物の健全性について適切な判断を下せるようになるでしょう。株式会社HOLTECHは、様々な非破壊検査技術を用いて、お客様の大切な構造物の診断を行います。ご不明な点やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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