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建設現場や建物の改修工事において、コンクリートの壁や床に配管・配線を通すための円形な穴を開ける作業。これを「ダイヤモンドコア穿孔(通称:コア抜き)」と呼びます。
現場監督や施工管理の皆様にとって、コア抜き工事の手配は日常的な業務かもしれません。
しかし、いざ専門業者に依頼しようとした際、
「この現場は水を使える環境か?」
「水を使ってはいけない部屋だが、どうやってコンクリートに穴を開けるのか?」
と判断に迷った経験はありませんか。
実は、コア抜きには大きく分けて「湿式(しっしき)」と「乾式(かんしき)」の2つの工法が存在します。
どちらの工法を選択するかによって、作業のスピード、工事のコスト、そして周囲への影響(水濡れや粉塵のリスク)が大きく変わってきます。
この記事では、コア抜きと非破壊検査のプロフェッショナルである株式会社HOLTECH(ホルテック)が、湿式と乾式の決定的な違い、それぞれのメリット・デメリット、そして現場環境に合わせた最適な「コア穿孔の選び方」について、分かりやすく徹底解説します。
コア抜きには大きく分けて「湿式」と「乾式」がある
コンクリートに綺麗な円柱状の穴を開けるコア抜き工事では、「ダイヤモンドコアビット」と呼ばれる、先端に工業用ダイヤモンドの粒子を埋め込んだ筒状の刃を使用します。この刃を高速で回転させ、コンクリートを削っていくのが基本原理です。
この際、ダイヤモンドの刃先にはすさまじい摩擦熱が発生します。
この摩擦熱をどのように処理するかによって、工法が2つに分かれます。
- 湿式コア抜き:刃先に「水」を送り込みながら、冷却して削る工法。
- 乾式コア抜き:水を一切使わず、空気で冷却しながら(または熱に強い特殊な刃を使用して)削る工法。
結論から申し上げますと、基本となるのは「湿式」です。しかし、建物の改修工事が増加している近年では、「水を使わないコア抜き(乾式)」の需要が急増しています。
それぞれの工法の具体的な特徴を見ていきましょう。
湿式コア抜きの特徴:圧倒的なスピードと仕上がりの美しさ
湿式コア抜きは、専用の機械からダイヤモンドビットの内部を通して、常に刃先に水を供給しながらコンクリートを削っていく工法です。建設現場において最も一般的であり、標準的に採用される工法です。
湿式コア抜きのメリット
- 作業スピードが圧倒的に速い
水をかける最大の目的は「冷却」と「削りカスの排出」です。摩擦熱を瞬時に冷まし、削られたコンクリートの粉を水と一緒に外へ洗い流すため、刃の回転が妨げられません。分厚いコンクリートや、内部の太い鉄筋に当たった場合でも、スピーディーに穿孔を完了させることができます。 - 仕上がりがきれい
刃先が熱で変形することなく安定して回転するため、開けた穴の断面(切断面)が鏡のようになめらかで、非常にきれいに仕上がります。 - 粉塵(ホコリ)が舞わない
コンクリートを削った際に出る粉は、すべて水と混ざって泥水(専門用語で「スライム」と呼びます)になります。そのため、空気中に有害な粉塵が飛散することがありません。 - 施工コストが安い
刃の消耗が少なく長持ちするため、後述する乾式に比べて、穴一つあたりの施工単価(コスト)を安く抑えることができます。
湿式コア抜きのデメリット
- 水濡れ対策(徹底した養生)が必要
作業中は常に水を使用し、泥水(スライム)が発生します。そのため、周囲の床や壁が汚れないよう、ビニール等を使った徹底した養生作業が必須となります。 - 汚水処理の手間がかかる
発生した泥水は、そのまま下水に流すことはできません。専用のバキュームクリーナー(集水器)で吸い取り、産業廃棄物として適切に処理する必要があります。 - 水が使えない環境では施工できない
これが最大の弱点です。OAフロアの上、変電室やサーバールームの近く、あるいはすでに内装が仕上がっている高級テナントなど、「万が一の水漏れ」が許されない環境では、湿式コア抜きを採用することはできません。
乾式コア抜きの特徴:水を使えない環境を救う救世主
乾式コア抜きは、水を一切使用せず、専用の乾式用ダイヤモンドビットを取り付けて穿孔する工法です 。 「水を使わないコア抜き」として、リニューアル工事や稼働中の施設での改修工事において、無くてはならない技術となっています。
乾式コア抜きのメリット
- 水を使えない環境でも施工可能
乾式最大のメリットはこれに尽きます。電気設備が密集している部屋、稼働中のオフィス、病院の病室周辺、内装クロスが貼り終わった後の部屋など、絶対に水で濡らしてはいけない場所でも、安全にコア抜きを行うことができます。 - 汚水処理が不要
水を使わないため、泥水(スライム)が一切発生しません。そのため、汚水を回収するバキューム機材の搬入や、産業廃棄物としての泥水処理の手間が省けます。 - 養生がシンプルで済む
水濡れに対する厳重な防水養生が不要です。もちろん粉塵対策の養生は必要ですが、水を使う場合と比べて準備の時間を短縮できるケースが多くあります。
乾式コア抜きのデメリット
- 粉塵対策が必須になる
水で洗い流さないため、削られたコンクリートは微細な粉塵(ホコリ)となって大量に発生します。そのままでは室内が粉塵だらけになってしまうため、コア抜き機に強力な集塵機(専用の掃除機)を接続し、粉を吸い込みながら作業を行う必要があります。 - 作業スピードが遅い(時間がかかる)
水による冷却がないため、刃先が非常に高温になります。特にコンクリート内部の鉄筋に当たった際などは、熱でダイヤモンドビットが焼き付いてしまう(ダメになる)リスクがあります。そのため、機械を休ませながら少しずつ削る必要があり、湿式に比べて作業に時間がかかります。 - 施工コストが割高になる傾向がある
熱に強い特殊なビットを使用しますが、それでも湿式に比べると刃の消耗が激しく寿命が短いです。また、穿孔そのものに時間がかかるため、結果として施工単価(コスト)は湿式よりも割高になるのが一般的です。
現場ごとの最適な選び方:プロが教える3つの判断基準
では、実際の現場で「湿式」と「乾式」のどちらを選ぶべきか。以下の3つのポイントから判断することをおすすめします。
1.環境(水濡れが許容されるか)
最も優先すべき判断基準です。
- 新築工事の現場、スケルトン状態の改修現場、屋外作業など、水を使用しても問題ない、または防水養生が容易な場所であれば、迷わず「湿式」を選びます。スピードが速くコストも抑えられます。
- 稼働中のコンピュータールーム周辺、店舗のテナント内、完成間近の内装工事現場など、一滴の水漏れも許されない場所であれば、選択肢は「乾式」一択となります。
2.対象物の厚さと材質(鉄筋の有無)
- 厚さが300mmを超える分厚い壁・床や、太い鉄筋が密集している強固な構造物に穴を開ける場合、乾式では摩擦熱の処理が追いつかず、ビットが破損するリスクが高まります。このような過酷な条件では、冷却能力に優れる「湿式」が適しています。
- ALC(軽量気泡コンクリート)やブロック壁、あるいは比較的薄いコンクリートスラブなどであれば、「乾式」でもスムーズに穿孔が可能です。
3.周辺への配慮(音・汚れ)
- 泥水による汚損リスクを徹底的に排除したい場合(例:真下が高級ブティックなど)は、「乾式」を選択し、強力な集塵を行うのが安全です。
- 逆に、極度のクリーンルーム周辺などで「粉塵をわずかでも空気中に漂わせたくない」という特殊な環境下では、水をバキュームで完全に吸引する前提で「湿式」を選ぶケースもあります。
比較表
| 比較項目 | 湿式コア抜き | 乾式コア抜き |
| 作業スピード | 速い(◎) | 遅い(△) |
| 施工コスト | 安い(◎) | 割高(△) |
| 水濡れリスク | あり(養生必須) | なし(水を使わない) |
| 粉塵リスク | なし(泥水になる) | あり(集塵機必須) |
| 分厚い壁・鉄筋 | 適している(◎) | あまり適さない(△) |
| 推奨される現場 | 新築、屋外、スケルトン改修 | 稼働中オフィス、電気室、内装済 |
HOLTECHなら現場の状況に合わせて最適な工法と機材を選定可能
コア抜き(ダイヤモンドコア穿孔)には、「湿式」と「乾式」という全く異なるアプローチの工法があります。工期を短縮し、無駄なコストを抑え、そして何より安全に工事を完了させるためには、現場の条件を正確に把握し、最適な工法を選択することが不可欠です。
「水は使えないけれど、分厚い壁に穴を開けなければならない」
「湿式でやりたいが、下階への水漏れが絶対に許されない」
現場監督やプロジェクトマネージャーの皆様が抱えるこうしたお悩みは、経験豊富な専門業者に相談することで解決できます。
株式会社HOLTECH(ホルテック)は、近畿一円・大阪を中心に、非破壊検査からコア抜き工事、アンカー打設までを一貫して行う専門業者です。当社では、豊富な種類のダイヤモンドビットと機材を取り揃えており、湿式・乾式の両工法に高レベルで対応可能です。
単に「穴を開ける」だけではありません。事前にX線(レントゲン)探査や電磁波レーダー探査を実施し、コンクリート内部の鉄筋や埋設管の位置を正確に把握。その上で、現場の環境に最も適した「湿式」または「乾式」のコア抜き工法をご提案し、熟練の有資格者が安全かつスピーディーに施工いたします。
工法の選択に迷われた際や、難しい環境下でのコア抜き工事が必要な際は、ぜひ一度株式会社HOLTECHへご相談ください。お客様の現場の「安全」と「安心」を、確かな技術でお約束します。

