【プロが解説】X線(レントゲン)探査の5つの注意点|被ばくリスクと安全管理の徹底解説

コンクリート内部の鉄筋や配管を、建物を壊さずに調査できるX線探査(レントゲン探査)は、建設や改修工事に不可欠な技術です。しかし「X線」と聞くと、「人体への影響は?」「作業は安全なの?」といったご不安を抱かれるかもしれません。

結論として、法律に基づき正しく安全管理を行えば、X線探査は非常に安全な技術です。ただし、その安全性を確保するためには、発注者様にもご理解いただきたい、いくつかの重要な注意点が存在します。

この記事では、非破壊検査の専門家が、X線探査を依頼する前に知るべき5つの重要な注意点を、被ばくリスクや安全管理の観点から解説します。

X線探査で最重要となるのが、放射線による被ばくリスクの管理です。X線は、正しく管理されない場合、人体に影響を及ぼす「電離放射線」に分類されるため、日本では厚生労働省の「電離放射線障害防止規則(電離則)」により、極めて厳格な安全基準が定められています。

その基準の根幹が、「管理区域」の設定です。

管理区域とは、作業者や第三者が不必要に放射線に被ばくするのを防ぐため、法律に基づき「立入禁止」などの措置を講じるエリアです。X線探査を行う際は、この管理区域をロープ等で明確に区画し、「放射線管理区域」の標識を掲示することが義務付けられています。

この法令遵守と、具体的な安全管理体制が、業者選定における最初の重要な確認ポイントです。

出典: e-Gov法令検索「電離放射線障害防止規則」

「管理区域」の設定は、現場の工程にも直接影響します。管理区域内では、X線探査の作業者以外は一切立ち入ることができないため、他の作業(内装工事や設備工事など)を同時に進めることはできません。

もし日中の作業時間帯に行う場合、広範囲の作業を一時的に完全にストップさせる必要があり、工事全体のスケジュールに遅延が生じるリスクがあります。

そのため、X線探査の計画段階で、「いつ、どの範囲を占有するのか」を、元請け業者や他の専門工事業者と綿密に協議し、調整することが不可欠です。

X線探査は万能ではなく、特にコンクリートの厚さや密度によって物理的な限界が存在します。X線はコンクリートを透過しますが、厚みが増すほどに減衰し、内部を鮮明に写す能力が落ちていきます。

一般的に、X線探査で鮮明な画像を得られるコンクリートの厚さは、300mm~400mm程度が目安です。これを超える厚い壁や床、あるいは高密度のコンクリートでは、内部の鉄筋などを十分に識別できない可能性があります。

状況によっては、電磁波を利用する「鉄筋探査(レーダ法)」など、別の検査技術と組み合わせる判断が必要です。信頼できる業者は、こうした技術的限界も事前に説明し、最適な調査方法を提案します。

X線探査が夜間や休日に行われることが多い理由は、注意点1と2で解説した「安全管理」と「工程への影響」にあります。

日中の現場は多くの作業員が行き交うため、安全な管理区域を確保し、全作業を中断してもらうのは現実的に困難です。そこで、人の出入りが少ない夜間や休日に作業を行うことで、安全性を最大限に確保し、日中の工事全体の遅延を防ぎます。

夜間・休日作業は追加費用が発生する場合もありますが、安全と工程を両立させるための合理的な選択肢であり、あらかじめその可能性を考慮しておくことが計画をスムーズに進めるコツです。

X線探査は、法律によって専門知識を持つ有資格者でなければ実施できません。

現場には必ず「エックス線作業主任者免許」を持つ技術者を配置し、その者の指揮のもとで作業を進めることが電離則で定められています。エックス線作業主任者は、現場の放射線安全管理に関する最高責任者であり、作業計画から被ばく線量の管理、安全設備の点検まで、全ての安全措置を統括します。

業者に依頼する際は、「有資格者が必ず現場を管理しますか?」と明確に確認することが、安全で信頼できる作業の前提条件となります。

X線探査には、以下の5つの注意点があることを解説しました。

まとめ
  • 被ばくリスク管理:法律に基づく「管理区域」の設定が必須。
  • 工程の制約他の作業との綿密な調整が必要。
  • 精度の限界コンクリートの厚さ(300~400mm目安)に限界がある。
  • 夜間・休日作業安全と工程の両立のために必要となる場合がある。
  • 有資格者「エックス線作業主任者」による管理が法律で義務付けられている。

業者選びは、価格だけでなく「安全を最優先し、法令を遵守する姿勢があるか」が最も重要です。

株式会社HOLTECHは、非破壊検査のプロとして、お客様の安全と資産を守ることを第一に考えております。経験豊富な「エックス線作業主任者」の指揮のもと、法令を100%遵守した安全管理を徹底し、現場の状況に応じた最適な調査プランをご提案します。

コンクリート内部の調査でお困りの際は、ぜひ一度、HOLTECHにご相談ください。確かな技術と徹底した安全管理でお応えします。

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